金融の知識

法人事業者が決算申告期限内に申告しない場合どうなる?

法人事業者が決算申告期限内に申告しない場合どうなる?

会社を運営していくにあたり経営者を煩わせるのが税務処理です。

本業のビジネスに没頭して注力することは苦にならないと思いますが、経営者的には税務処理のことで思考力や時間を取られるのは正直なところ不毛な時間に感じる方が多いかもしれません。

それでも、税金に関する処理手続きを適切に行うことは事業者の責任の一つであり、決算申告を期限内に行わないとペナルティを課せられる危険もあります。

本章では法人事業者が決算申告手続きを怠った場合にどうなるか見ていきます。

法人に課税される主な税金

法人に課税される主な税金まずは法人に課せられる主な税目と、申告納税の期限を確認します。

・法人税
・法人事業税
・法人住民税
・消費税、地方消費税

上記の税金は事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内が申告期限となります。

申告期限が土日や祝日にあたる場合は休み明けの平日が期限です。

また納税期限も同じ期日です。

法人事業税や消費税など一部の税目はケースによって税金がかからないこともありますが、納税義務のある税目は同期限までに申告手続きだけでなく納付手続きも済ませる必要があります。

次からは適切に申告手続きをしなかった場合に起き得る事柄を見ていきます。

税務調査に入られる可能性が高くなる

税務調査に入られる可能性が高くなる税務署は税金を徴収する役割を負う役所ですので、適切に税金の支払いをしていない企業には税務調査を行います。

ただし期限内に決算申告をしなかったからと言って、その直後に税務調査が行われるとは限りません。

税務署にもマンパワーの限度があるのですぐには税務調査を行わない可能性もあります。

しかし注意が必要なのは、あえて税務調査を行わず、ある程度企業側を泳がしておくこともあるということです。

税務調査を行うには人手も時間も必要ですので、小さな違反事案はある程度の期間あえて見逃したうえで、数年分まとまった時点で税務調査に入り、違反をまとめて是正するという動きを見せることもあります。

特に儲けが出にくい起業当初の無申告は見逃しておいて、事業が軌道に乗って儲けが出てきそうな時期を見計らって税務調査に入るということは考えられるので、「一度申告手続きを怠ったけど特に連絡もなかったし、今年も大丈夫だろう」などと思っていると痛い目を見ることになります。

加算税が発生する

加算税が発生する税務調査により違反が発覚すれば、その企業はペナルティとして加算税を課せられる可能性が出てきます。

加算税とは、必要な税金の申告納税義務を怠ったことに対するペナルティで、本来納めなければならない税金に一定割合をプラスして納税させるものです。

加算税はいくつか種類があるので、以下で確認します。

①無申告加算税

これはまさに必要な申告納税を怠ったことに対するペナルティです。

ケースによって5%~20%の範囲で本来必要な税額に加算されます。

さらに、5年以内に同じ違反をして以前にもペナルティを課された実績がある場合、最大30%に増額されることもあります。

②重加算税

重加算税は必要な申告納税を怠ったことについて特に悪質性がみられる事案で課されるペナルティです。

無申告加算税に代えて課される重加算税は原則として40%、ただし5年以内に同じ違反をして以前にもペナルティを課された実績がある場合は50%となることもあります。

ちなみに、決算申告はしたものの本来必要な税額よりも少なく見積もって申告納税を行ったような場合は、別に過少申告加算税というペナルティも用意されています。

こちらはケースによって5%~15%の加算率になっています。

延滞税が発生する

延滞税が発生する延滞税は民間の借金等で支払期限に遅れた場合に発生する遅延損害金もしくは利息のような性質を持つペナルティです。

延滞税は納期限の翌日から2月を経過する日までと、当該日の翌日以降とで金額の設定が変わる仕様となっています。

また金額の計算には「特例基準割合」という特殊な指標が用いられ、これは現在の日本国内で用いられる一般的な利息利率から大きくかけ離れないよう、民間銀行における短期貸出約定平均金利を参考にして割り出されるものです。

やっかいなことに特例基準割合は年ごとに変動が出るため、一定の数字を固定で覚えておけば良いというものでもなく、その年ごとに調べる必要があることに留意してください。

直近の延滞税については以下で確認できるので参考にしてください。
https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/entaizei/keisan/entai_wariai.htm

青色申告を取り消される

青色申告を取り消される
無申告のまま2年を過ぎると青色申告が取り消されるので有利な特典が使えなくなってしまいます。

青色申告は様々な恩恵を受けることができるので多くの企業が利用していると思いますが、これが取り消されることで少額減価償却資産の特例が使えなくなったり、繰越控除ができなくなるなどの不利益が生じます。

繰り越し控除は最大3年間赤字を繰り越すことができるもので、これにより数年にわたって計算上の黒字を少なくし、税金を減らせる恩恵があります。

こうした優遇策を使えなくなるので、税負担が増すことになります。

銀行からの融資を受けられなくなる可能性

銀行からの融資を受けられなくなる可能性経営実務面では別の問題も出てくるかもしれません。

税務調査によって違反が発覚すれば、これを察知した銀行が取引を敬遠するということも考えられます。

銀行との付き合いは非常に大切で、資金確保が難しくなれば事業の継続が難しくなるかもしれません。

会社の信用が崩れる

会社の信用が崩れる税務手続きを適切に行わず税金逃れをした事実が公になれば、その会社の評判に影響し信用失墜につながるでしょう。

特に名前が知れた企業、地元で長く続く企業などはその影響が大きくなります。

また社会貢献の度合いが強い事業者も、イメージの低下から事業がしづらくなる可能性があります。

以後のビジネスにおいて取引を敬遠されたり、消費者が商品やサービスの購入を控えるといった形でダイレクトに影響がでることも考えられます。

無申告は時効でチャラにできる!?

無申告は時効でチャラにできる!?無申告によって逃れた税金については、申告期限から原則5年で時効となるルールがあり、特に悪質な不正である場合はこれが7年に伸長されます。

しかし最大7年頑張れば時効でチャラになるのかと喜ぶのは危険です。

税務署は企業の情報を押さえていますから、無申告の事実はほぼ確実につかまれているので、時効完成前に税務調査に入り、本来の税金に加えて上記で見た加算税などを加えて課税することができます。

結局加算税や延滞税などのペナルティで儲けの多くを持っていかれることになるので、必要な申告納税はしっかりとする方が安くあがります。

株主総会が開けず決算処理が遅れるなどの事情がある場合は、税務署に相談することで申告手続きを延長することもできるので、難しい場合は一度相談してみましょう。

まとめ

まとめ
本章では法人事業者が期限内の決算申告手続きを怠った場合にどうなるか見てきました。

必要な税金の処理を怠れば、当然税務署が是正に動いてくるので、税務調査に入られることになります。

ここにテキストを入力違反が見つかれば各種加算税や延滞税が加算され、本来よりも多くの税金を取られることになります。

金額が大きくなることで場合によっては事業の存続にかかわることになりかねないので、必要な税務申告は期限内にしっかり行うようにしましょう。

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