経営者

【2023年】相次ぐ料金値上げラッシュ!
経営事業者への影響は?

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近頃の物価高のニュースは途切れることがありませんね。
消費者の方々にとっても家計へのダメージが相当響いているところですが、事業者にとっても電気ガスなどのエネルギー価格の上昇や仕入れ方面での物価高などが問題になっています。
日本は慣行的に対消費者としてモノやサービスの値上げをしにくい風潮があるため、簡単に価格転嫁できない事情もあります。
本章では事業経営に対する物価高や料金値上げの影響を見ていきます。

■企業物価指数はどうなっている?

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最初に、日本国内における近年の企業物価指数の動きを見てみましょう。
企業物価指数とは、企業間でなされる売買における取引の値段の推移を示すものです。
企業物価指数は過去二年間において急上昇を見せており、1980年代以降においては過去最高水準となっています。
この要因として、当初は円安などの影響が強かったものが、その後勃発したロシア・ウクライナ紛争の影響でエネルギー価格が高騰したことや、世界的に物資の流通が滞ったことでさらに拍車がかかりました。
事業上で電気やガスなどを大量に使う企業は固定費の負担上昇が甚だしく、大きなダメージになっています。
最近になって円安の情勢は改善の兆しがみられることから多少の希望も見えるものの、全体としては負担の方が圧倒的に重く、多くの企業の頭を悩ませています。

■中小企業の対応状況

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このように企業負担が重くなった場合、海外ではすぐさま価格転嫁を行うのが一般的です。
その結果あおりを受けるのは消費者の家計ですが、海外の場合は消費者サイドの受け止め方が日本とかなり異なります。
モノやサービスの生産、提供にかかる費用が上がるのであれば、エンドユーザー向けの値段が上がるのは止む無し、という意識が浸透しているので、企業が多少の値上げをしてもそれを理由に消費が落ち込むことはあまりありません。
ところが日本では値上げをした企業が悪いと言わんばかりに、極端に消費が落ち込むことがあります。
これを恐れて企業は十分な価格転嫁ができず、損失を拡大させています。
2022年版の中小企業白書では70%弱の中小企業が物価上昇による負担の価格転嫁ができていないことが示されており、やはり企業側が負担を被っている様子がうかがえます。
それでも、体制立て直しまで体力が持てばよいですが、中小で体力のないところでは倒産する事例も出ています。
帝国データバンクの調べによると2022年の7月以降に倒産件数が過去最多を更新したと発表しています。
特に事業上でエネルギーを多量に必要とする製造業や運輸、建設業などでの倒産が目立っているようです。

■エネルギー価格の高騰には政府のテコ入れも

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エネルギー価格の高騰については、海外依存度が高いことから我が国政府としても対策を講じています。
エネルギー供給事業者に対して支援策を講じることにより、販売価格の上昇を抑制するテコ入れがなされました。
多少の効果はあったと思われますが、エネルギーを購入、消費する事業者からは十分な満足を感じていないとの声が強く聞かれます。
価格転嫁が十分にできず、このまま生産コストも上昇を続けるなら、より多くの企業が瀬戸際に立たされるのは確実です。
何とかして自衛策を講じ、会社や従業員を守り抜かなければなりません。

■企業側でとれる対策は?

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では個別の企業側でとれる対策にはどういったものが考えられるか見ていきます。

①取引先との話し合い

BtoBの取引がある場合、販売先に対して価格交渉を図ることも必要かもしれません。
対消費者と違って事業者同士の場合はお互いに事情を分かっていることから、話し合いが上手くいくことも多いです。
販売方面で話合いが上手くいかない場合は、仕入れ方面でサプライチェーンの見直しを考えることもできます。
直接仕入れによる中間コストの削減など、できることがないか一考してみましょう。

②対消費者の価格転嫁

消費者に対しては伝統的に価格転嫁がしづらいということは述べてきました。
ただ昨今の事情を考慮してか、消費者サイドでも企業側の苦悩に配慮する姿勢が強まっています。
多少の値上げは許容される雰囲気が強まっていますので、これまで強気の価格転嫁ができなかった企業も値上げに舵を切るところが増えています。
もはや企業努力では受け止めきれないまでに価格上昇コストが強まっているのは消費者も分かっていますので、家計への影響から多少財布のひもは固くなるでしょうが、懲罰的な消費抑制行動を取られることはまずないでしょう。

③コストカットの推進

価格転嫁をする以上は、企業側も出来得る限りのコストカットを進める必要があります。
ITを積極的に導入して人員削減を目指すなど、できることはないか考えてみましょう。

④自治体の支援策を活用する

昨今の物価高騰を受けて、各自治体では独自に企業の支援策を打ち出すところがあります。
こうした支援策を活用できれば、負担をダイレクトに低減させることができます。
例えば以下のような自治体で企業支援が行われています。

徳 島 県 :徳島県物価高騰対策応援金
埼玉県北本市:原油価格・物価高騰等対策支援金
静岡県伊豆市:燃料費高騰対策事業者支援給付金
山形県米沢市:製造業事業者電気料金高騰対策支援金
山口県萩市 :原油価格・物価高騰対策支援金
福 岡 県 :福岡県医療機関等物価高騰対策支援金

自治体にとっても地元企業が元気をなくすのは困るので、色々と支援策を講じるところが増えています。
地元自治体の商工課などに問い合わせれば情報を得られると思いますので、一度電話等で聞いてみることをお勧めします。

■まとめ

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本章では事業経営に対する物価高や料金値上げの影響、その対応策などについて見てきました。
長く続いた円安の影響に加えて、海外紛争によるエネルギー価格の高騰、物資流通の阻害などの事情によりモノやサービスの生産、製造コストの増加が響いています。
各事業者はコスト増による負担をこれまで必死に耐えてきましたが、いよいよ価格転嫁は避けられない様相となっています。
ある程度の値上げは許容される雰囲気が醸成されていますので、コストカットや補助金の活用など取れる対策は講じた上で、必要な価格調整を講じていきましょう。