最近の金融情勢は何かと不穏な雰囲気が漂っています。
金融以外の影響も様々な方面から受けているので不透明さが際立ち、不安を感じている方が多いと思います。
この回では金融情勢やこれに影響を与える様々な要素などを俯瞰し、ビジネスにどのような影響が出るのかを予想するとともに、資金繰り方面への影響なども考えてみたいと思います。
■円安で企業や個人にどんな影響が出る?
まずは世間を騒がせている円安というものが、個人やビジネスを行う企業にどのような影響を与えているのか押さえます。
円安は対外的な通貨のパワーバランス上で円が弱い状態を指します。
ここではアメリカのドル通貨との関係を見ていきますが、ドルに対して円が強い場合には円高となり、少ない日本円でアメリカドルを買えるので、海外旅行に行けば安い費用で楽しむことができます。
今はその逆の円安の状態ですから、日本円の力が弱く、より多くの日本円を投入しなければドルが買えません。
ニュースなどで海外旅行に行った人が「ラーメン一杯5千円でした」と泣きそうな顔で訴えていたのが印象的ですが、今は日本円の力がかなり弱っているため、そのような事態が起きるわけですね。
この円安の状況を俯瞰した時、国内で輸入を主に行っている企業は海外で物資を調達するときに多くの日本円を支払わなければならないので、先の海外旅行者と同じような立ち位置となり、多くのコストがかかることから経営難に陥りやすくなります。
しかし逆に輸出事業者は、海外の事業者が日本国内の物資を安く買えるので輸出しやすい状況になります。
日本の製品は高品質で人気があるので、低価格で高品質ということでかなりの魅力があることでしょう。
では企業ではなく個人ではどうかというと、多くの場合輸入事業者と同じく家計からの出費が多くなり苦しくなります。
多くの物資やエネルギーを輸入に頼る日本では、国民が消費する物資を海外に依存しているのが実情です。
それらは輸入によってもたらされるわけですから、国内に流通する物資はコストを反映しして割高になります。
エネルギーも同様ですから、昨今の値上げラッシュで各地から悲鳴のような声が上がっているのもうなずけますね。
■日本のインフレはそれほどひどくない?
さて、近時の円安ではインフレの危険性が心配されています。
物価が上がっても賃金も上がれば良いのですが、望ましい状態にはなっていません。
この場合、物価の不当な高騰を招きインフレの危険が生じることになります。
海外では実際にインフレの傾向が強まり警戒されていますが、日本の8月の消費者物価指数(CPI)を見てみると上昇率は2.8%となっています。
アメリカが8.3%、ユーロ圏が9.1%であるのと比べると、日本のインフレ率はかなり低い水準にあります。
これは諸外国と比べて物価の上昇が緩やかであることを意味します。
国内では家計への影響から苦しむ声が聞こえてきますが、それでも諸外国と比べると大分マシということです。
これはつまり、まだ個人に対する購買意欲の訴求に伸びしろがあると考えることもでき、ビジネス的には良い事象と捉えることができます。
■投機筋による過度な円安も
ただし楽観はできません。
海外の投機筋などが金融市場で影響を強め、過度な円安に拍車をかけている状況が続いています。
これを放置すると、日本の国内経済に対する悪影響が強まり、国見生活の圧迫にさらに拍車がかかることが懸念されます。
最近、もはや看過しえないと判断した国は、日銀と協力して市場介入を行いました。
今回の市場介入は海外との協調は無く、おそらく日本一国だけの単独介入であったと思われます。
そのため強い影響を与えることは難しいのですが、それでも投機筋による干渉に対抗することは可能と考えているようです。
これからも必要な時期に介入を行うと明言しているので、過度な円安を抑える効果は一定程度期待できるでしょう。
■物価状況は他の要因も絡む
物価高騰には海外情勢なども絡んできます。
ご存じのようにロシア・ウクライナ紛争が続いており、これが世界全体に様々な影響を及ぼしています。
直接的なところでは、食糧方面では小麦を中心とした物資の輸送が阻まれ、世界中で食料全体の値段が上がっています。
一時期、ロシアとウクライナ、それに西側諸国とで合意がなされ、小麦の輸出ができた時期がありましたが、ロシアの旗色が悪くなるとロシアが合意を離脱、再び輸出経路が絶たれてしまいました。
エネルギー方面ではロシアからの天然ガスの輸入が規制され、この影響でガスを含む全てのエネルギー価格が高騰しています。
国民目線ではこれまでと比べると負担が増加していることは否めなく、財布のひもがきつくなることは予想できます。
ただ、この事象を低減させる事情として、先に上げたように諸外国と比べると日本はインフレがそれほど進んでおらず、まだ国民の消費意欲に余力があると見ることもできます。
消費意欲が残っている以上は、ビジネスに商機を見ることは十分に可能です。
■日本経済は大混乱に陥る様相は無い
現状、日本国内では経済統制がしっかりとれている状態で、発展途上国のような混乱はまず起きないと考えられます。
個人消費は抑制傾向に入ると思いますが、それでも余力は残っており、商機は十分ありと踏んで問題ないでしょう。
そうであれば、苦しい中でも諦めなければ商売を続けていくことができます。
資金難にあっても何とか資金繰りを講じれば、ビジネスを続けていくことは可能です。
一時的な資金繰りを調整するには銀行融資も考えられますが、銀行は機動性が無く、また資金回収リスクを強めに考えるので事業者にとっては借りにくい相手です。
その点ビジネスローンは貸し手となるノンバンクに柔軟性があり、借りやすい相手です。
迅速性もあることから資金ショートなど緊急性のある事案にも対応できます。
信用を基に貸し付けを受けるプランもありますし、不動産などの担保提供が可能であればかなりまとまった額の融資を受けることもできます。
苦境にあっても諦めなければきっと商機をつかむことができますから、諦めずに頑張っていきましょう。
■まとめ
本章では金融市場の動向や海外事情などを勘案しながら、ビジネスへの影響を考えてきました。
円安という事情がどのような影響を及ぼすかは企業によって変わってきますが、国民目線では悪影響が出ています。
それでも、肌感覚としてもまだ国民の消費意欲は衰えていないので、ビジネス面での商機は十分にあります。
事業者としては資金繰りを調整できるように体制を整え、いざという時はビジネスローンを利用するなどして上手に乗り切っていきましょう。